久しぶりに買ったCD
先日、Wayne Short(ウェイン・ショーター )のCDを買った。
Wayne Short(ウェイン・ショーター )というと、真っ先に「ウェザー・リポート」というグループ名を思い浮かべる方が多いと思う。
もちろん「ウェザー・リポート」での活躍が、彼の名前を一般に広めたのは事実であるが、実は60年代のジャズ界でいわゆる「新主流派」と言われたうちの一人であり、ウェザーの結成前からソロや他のグループで活躍していた人物なのである。
テナーサックスだけでなくソプラノサックスもこなし、作曲家としても数々の名曲を書き上げ、御年80歳を超えても3枚組の新作(2018年の『Emanon』)を出すなど、とても個性豊かなジャズ・ジャイアンツである。
彼のキャリアをザックリと分けると、ジャズメッセンジャーズ期、マイルス・クインテット期、ウェザーリポート期、ウェザー以降という分け方になると思うが、それぞれの時期にソロアルバムも発表している。
今回購入したCDは、「Juju」というタイトルで発表された、Blue Noteに移籍してから2枚目のソロアルバムである。
オリジナルは全6曲のアルバムだが、1曲目と3曲目の別テイクを加えた全8曲となり、邦題のタイトルも「Juju+2」とされている。
オリジナル以外のものに対し、否定的な意見をお持ちの方もいるかも知れないが、個人的には別テイクでの即興演奏も聞いてみたいし、「Juju+2」としてのライナーノーツもハードで読んでみたい。
こういう企画もの(?)は、プレーヤー好きの愛好家にとっては非常に有難いので、SDGsなご時世からは逆行することを承知の上、あえてストリーミング・ダウンロードではなくCD購入に踏み切った。
それに今までは、どちらかというとマイルス・クインテットやウェザーの彼しか聴く機会が無かった。
機会が無かったというより、興味はあったが率先してソロアルバムを聴いてこなかった、と言った方が正解であろう。
早速、全8曲を通しで聴いてみた。
1曲目や3曲目もいいのだが、個人的に2曲目の「DELUGE」がとても印象に残る。
曲調が不思議な感じで、暗いとか明るいとかいうよりも、「異次元」とか「異空間」という雰囲気を感じさせる曲調である。
もっとも彼が作る曲自体そういう曲が多く、それを「黒魔術」と喩える人もいるが、それが彼の個性である。
私は常々、「余計な情報が追加される前の第一印象 / ファーストインプレッションこそ、その人のアンテナの指向性を明確に示している」と思っている。
初めて通しでアルバムを聴いた時、2曲目が印象に残り、「異次元」とか「異空間」という雰囲気を感じた、というのが今の私が持っている「アンテナ」の指向性なのであろう。
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マッコイ・タイナーやエルヴィン・ジョーンズを起用している事が原因かもしれないが、5曲目の「Yes or No」などは、途中でコルトレーンを感じるところがあり、聴きながら軽くニヤけさせられた。
いちリスナーとして通しで聴いたのだから、「別テイクでの即興演奏」まで気がまわらないのは当然で、それはまた今後の楽しみさせて頂くつもりだ。
「即興演奏の分析ができる」とまで言えるほどの自信はないが、違いを楽しむくらいの耳は持っている、と信じたい。。。
今回のCD購入を機に、更にショーターワールドにどっぷり浸かってみたい、そう思わせてくれるアルバムであった。
ショーターファンの方は、お薦めのアルバムがあればぜひご教示下さい。